轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おおえどおうごんきょう
大江戸黄金狂
野村 胡堂
「新青年」1939(昭和14)年11月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 页
骸骨と黄金
骸骨と黄金
「これが辻堂だ」
山浦丈太郎は初めて口を開きました。美濃紙一枚ほどの絵図面が、退引させず見る人の注意を引き摺って行くのです。
「これが辻堂の後の筍岩だ」
と空善の指は絵図面を這います。
「――(仲秋望の夜戌の刻、石筍の影地に落つるところ)――とある」
「此方には――(戌亥に五歩、丑寅に七歩、石猿を叩いて道自ら開くべし)――とある」
「御坊」
「山浦氏、素より不浄の宝だが、大久保石見守の血を引く我々を此処まで導いた上は、この儘にもいたし難い。祖父の罪を償うため、隠したものは世に出し、闇の中のものは天日に曝して、その所を得せしむるのが道で御座ろうか」
空善は寒々と袖をかき合せるのです。
「参ろう、御坊」
「お滝も来るが宜い」
二つの死骸に羽織をかけて片手拝みに、三人は辻堂の後に廻りました。時刻も丁度戌刻、筍岩の影の落ちたあたり、わざわざ敷いたらしい一枚石の上から、示された通りの足数を辿ると、道はハタと屏風岩に衝き当ります。
「お、三猿が刻んである――苔がひどいから、一寸解らないが」
空善は屏風岩の正面の苔を払って、ほのかに見える三猿を指さしました。あまりの薄彫りで、昼の強い光線の下では、却って紛れて見えなかったかも解りません。