轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おおえどおうごんきょう

大江戸黄金狂

野村 胡堂

「新青年」1939(昭和14)年11月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,754 字 · 53 页

青空文庫

「小父さん、やっけえのけえ六というのはお前さんだね」

大磯の居酒屋でとぐろを巻いているところへ、十二三の可愛らしい小僧が声を掛けたのです。

「何? やっけえのけえ六? ――馬鹿にするねえ、そんな珍毛唐見てえな名前なんか持って居るものか、畜生ッ、人の面ジロジロ見やがると目玉をくり抜いて、田螺合にして食っちまうぞ――驚いたか小僧奴ッ」

粕臭い息をフーッと吹いて、クルリと向うを向いてしまいました。

「だって、左の耳朶が無くて、黄色い大きな歯が二本飛出してるのが、やっけえのけえ六だって教わったんだぜ」

「やいやいやい、人の面の棚卸しなんかしやがって、耳朶なんか、喧嘩で食い切られたんだ。こんなものを右左へくっ付けて置くことがあるもんか、とんだ清々して良い心持だ。嘘だと思ったら、手前も取払って見ねえ」

「御免だよ、耳朶を取払った代りに、歯が飛出しゃ元々だ」

「抜かしたな小僧」

「怒ったって怖くも何んともないよ、それより、やっけえのけえ六なら白状した方が宜いぜ。綺麗な女の人から手紙を頼まれて来たんだから」

様子が滅法可愛らしい癖に、言うことは恐ろしく憎体です。

「何?」

「だから白状しねえ、やっけえのけえ六ならやっけえのけえ六と――」