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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
04 枕の妖異
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,545 字 · 23 页
一
この二つの話は何んか知ら一脈相通ずるものがあり、要するに人間は任意に歓楽の夢を見ることが可能で、それはハシシに属する麻薬の助けを借りるのではあるまいかと思われます。
もう一つ、人は時々非常に長い夢を見ることがありますが、心理学者の実験の結果、あれは実際に短い時間に見るのだということが明らかにされて参りました。盧生が飯の炊き上るまでに五十年の夢を見たというのも、決して作り事とばかりは申されません。
――さて前説は非常に長くなりましたが、私のこれから申上げる、奇怪至極な話は、決して出鱈目な作り話でないという証拠を、予め呑み込んで頂くために、いささか床屋談義めくことを申上げた次第で御座います」
桜井作楽の話は、これからいよいよ本題に入るのでした。
一
「此処がよかろう」
「ウム、場所は何処でも構わぬ、貴公の命を申受けさえすればそれで宜いのだ」
「何んの」
二人はパッと左右に別れました。どちらも若くて、どちらも元気そうな青年武士、浜町河岸の朧ろの月下、二条の刃が春の夜風を剪って相正眼に構えたのです。
時は天明元年三月十八日の夜、
「今からでも遅くはない、其方で引く気は無いか、今夜の始末は内密にしてやるぞ」