轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

「婦人画報」1925(大正14)年5月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,609 字 · 107 页

青空文庫

同じ近所迷惑なら、矢張りお謡曲でございますよ、殿方の芸事は」

と橋口夫人は御良人の薫陶よろしきを得て、ソロ/\謡曲の功徳を説き出した。

「それは何と申しても謡曲が一番上品でございますわね。けれども宅のは近所迷惑どころか、姪や私に恥かしいと申して、家では未だ一度も歌って下さいませんのよ」

と安子夫人は自分が抑えているくせに巧いことを言う。

「村島さんは内気でいらっしゃる所為か、宅へお出になっても然う大きなお声はお出しになりませんわ。けれども筋はナカ/\およろしいんだそうでございますよ」

「何うでございますか。何をやっても不器用な人でございますからね」

「いゝえ、小器用なのは伸びないと申しますわ」

「奥さん、宅のはあんな胴間声で末の見込がございましょうか?」

と内藤夫人も良人の成績を気にした。尤も安子夫人同様、上達を冀うのではなくて、何なら早く諦めさせようという肚だから宜しくない。

「内藤さんはお声が大きくて態度がお立派だと申して居りますのよ」

「つまり見かけ倒しで真底は駄目なんでございましょう? よく性格が現れていますわ」

「いゝえ、何う致しまして、声量がタップリおありですから、楽々と御上達なさいますのよ」