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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

眼が赤いでしょう」

心の平静を取り戻した様子で、

「ドンちゃんがね、――ほら、この間先生が楽屋へいらした時、先生の坐っていたすぐ横にいた子」

人なつっこい声でそう言って、私のうなずきを待つような間を置く。私は、楽屋へ行った時はいやもう、すっかりあがっていて、一向に覚えがないのだが、うんうんとうなずいた。

「あの人がね、急に小屋をやめることになって、今日が最後の舞台なんですの。自分じゃやめたくないのよ。でもお父さんが満州へ行くんで、一緒に連れて行かれるの。だもんで、さっき、舞台でも半泣きの顔をしていて、楽屋へ入ると、いきなりワーッ……」

丁寧な言葉とぞんざいな言葉をごっちゃにして、サーちゃんは喋るのだったが、喋りながらも扉の方に眼をやっていた。

「そこへね、先生今度O館をやめて私たちのところへ入った踊り子さんが、トランクを持って、ベソをかきながら楽屋へやってきたんですの。その人もO館でみんなとサンザ泣いて別れてきたばかしのところなの。来てみると、こっちではドンちゃんがワーワー泣いているでしょう。だもんで、その人、また悲しくなって、トランクをおッぽり出して、ワーワー泣き出しちゃったの。