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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

第六回 帽子の下に頭がある

そう考えると、私はたまらなかった。

サーちゃんも、そう見たろう。

そうだ、楽屋の踊り子たちは、みんなそう見たろう。

瓶口黒須兵衛も、そう見たにちがいない。

――そうとは気づかず、楽屋に洒蛙洒蛙と顔をさらしていた。どんなにあさましい、けがらわしいヌケヌケとした顔に見えたことだろう。

私は恥で全身が火照る感じだった。

――嶺美佐子が私に、猟奇の気持で浅草をブラついているのかと言った言葉を思い出した。美佐子も私を、「鰯」を探している男と見たのだ。

そうなると、――ドサ貫も、そう見たろう。

「惚太郎」の細君も、そう見ているだろう。

亀家ぽんたんも、末弘春吉も……。

私は私にきびしく注がれているそれらの眼を鞭のようにぴしぴしと感じた。

その眼のなかに、私はまだ会ったことのない但馬滋の眼をも見たのだった。

そいつがなぜか一番光っていた。――

それらの眼は、いわば浅草の眼であった。私は浅草にいたたまれぬ思いだった。

私は追われるようにして、大森の家へ帰った。……

第六回 帽子の下に頭がある

浅草から遠ざかっていること何日くらいであったろうか。私のうちにようやく浅草に対する一種の郷愁的感情が鬱積してきた。