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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
第十回 酉の日の前後
というビリヤードがある。
ちょうどそこへさしかかった時、ガラス湯の、真冬なのに少しとはいえ窓をひらいた、その窓から、パンパンという、三助が肩を叩く気持のいい音が聞えてきた。冬らしくない爽やかな音だったが、そうした音が私の耳に入ったというのも、私たちは、――真中に私、左右にバーテンとドサ貫、いずれも黙って、歩いていたからだった。そして、くどいようだが、黙って歩いていたというのも、ドサ貫の表情が何か険しかったからで、ドサ貫の素姓を知らないバーテンは、こいつ、エンコのうるさがたかな、といった、これまた険しい表情で、私も、――私はドサ貫の素姓は知っているが、その異様な気配に口がきけず、むずかしい顔をしていたのであった。
第十回 酉の日の前後
国際通りを横断して、左角に「聚楽」(ついこの間まで観音劇場)、右角に「広養軒」のある通りを、そのまままっすぐに行こうとすると、
「こっちへ行きましょう」
とドサ貫が「広養軒」の方を指さした。「O館の奴らに会うと、いやだから……」その通りのさきに、ドサ貫がもといたレヴィウ劇場のO館が見える。
私たちは、ドサ貫の言うままに、右へそれたが、少し行くと「広養軒」