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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

――みんな、漫才みたようなもんさ。

(注七)

「惚太郎」へ行くと、美佐子はいなかった。「お座敷の仕事のこととかで、ちょっと出かけました」と細君が言った。

若い男の客が二人来ていて、うどん粉を匙ですくって流しながら自分の名らしいローマ字綴りを鉄板の上に書いて「今度は、うまくできたぞ」などと言って、打ち興じている。うどん粉がなかなか言うことをきかないから、その呼吸が難しい。面白そうなのに釣られて、私も「あんこてん」をもらった。あんこをうどん粉に丹念にまぜて、さて、自分の名を書こうとして、何かためらわれた。では誰か他の名を、――そうだと私はうなずいた。

K とまず書いた。なるほど難しい。最初にボタリとうどん粉を落とした柱の頭に、大きな癌ができてしまった。つづいて o ――つづいて y ―― Koyanagi Masako

見るに堪えない下手糞なできぐあいだった。はがしで、ごちゃごちゃとかためてしまった。

もう一度、――今度は慎重にやったので、どうにか見られる程度にできた。で、それはそのままにして、――(そうだ。今度は日本字で……)と思いついた時、

「おばさん、帰るよ」