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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

「やあ――帰るですか」

「寒いんでね」うそをついて逃れようとすると、

「寒いですな。――じゃ、あたしも帰ろう、一緒に」

おやおやと思った時は、もう手遅れで、彼は私と肩を並べて、

「三の酉まである年は、火事が多いというが、ほんとですな」ぶるると身体を震わせて「とってもいけねえ、すっかり冷え込んじまった。これじゃ寝られそうもないが、旦那どうです。パイ一といきやしょうか」

そうですねと私は曖昧に言いながら、眼をキョロキョロと人の群に放っていた。

小柳雅子はとうとう見出せなかった。私はそれが何か末弘春吉のせいみたいにも思われ「パイ一は、どこでやります。あいているところあるかしら」とひどく突慳貪に言い、言ってから、ごめんごめんと弱気に謝る気持で、「――ちょっと財布をアパートへ取りに行ってきますがね」とやさしく言った。

外の通りに末弘を待たせて私はアパートへ行き、戻ると末弘は同じ火事見物の帰りらしい背の低い老人と立ち話をしていた。私を見ると、末弘はそのひどく見すぼらしい恰好をした男と別れ、私たちは国際通りを、国際劇場の方へ向けて歩き出した。

「おたくは昔の浅草をご存じで?」