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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

「ああ倉橋君。この間の一の酉の晩に、小柳雅子の後援会の連中が、小柳雅子が中華へ行くというんでその送別会を開いとったですがね。聚楽の二階で、やっとったですよ。あんたも行ってやりゃよかったですな。小柳雅子は喜んだでしょうにな」

私は、そんな送別会のあったことを、てんで知らなかった。朝野はそんな後援会のあることを私に言ったことはないし、そんな送別会のことも私に知らしてはくれなかった。

「ほう、後援会があるんですか」

と私は、あとになってそんなことを言う朝野に不満を感じながらそう言ったが、朝野の方も私が残念がるだろうとそれをおもしろがって、そんなことを言っている風であった。

「堂々たる後援会ですわ」

と、朝野は汚い歯を剥き出してニヤニヤしながら、

「会員というのは、靴屋の小僧とか、魚屋の忰とか、トンカツ屋のあんちゃんとか、蕎麦屋の出前持とか、円タクの助手とか、鍍金工場の職工とか、ああくたびれる。そいつらが会というと、一張羅を着込んで集まってきて、小柳雅子を囲んで、もっともらしい顔をして、小柳嬢の芸風はなんどと論争をしたりする光景は、こいつはちょっと見ものですわ。小説のネタになるですな。