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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

そして、この瓶口は、望みどおり出世したら私の好きでないタイプになるだろうと、そうした見当はついているが、出世前のこう気負い立っている瓶口は、いわば壮大な炎でも見るような快さで決して嫌いではなかった。

「おや、おや、ひどいふけだ」

瓶口は私の二重回しのうしろを払ってくれまでして、

「小柳マーちゃんは十二月のはじめには帰ってきますが、会はまあ、――小柳マーちゃんが帰ってからでしょうね」

フフフと笑って私の肩を叩いた。

サーちゃんの言葉といい、この瓶口の言葉といい、私が小柳雅子に夢中なことは、いつかもう小屋中に「有名」になっているらしい。君が言いふらしたのだろう、そんな眼を朝野に向けると、朝野はくるりと私に背を向けて、

「瓶君は、実際全く、いやほんとうに張り切ってるねえ」

すると瓶口は革手袋をはめた手を元気よくパンパンと叩いて、

「いま張り切らなきゃ、張り切るときはないんですよ」

「――人気が出てきたからなア」

「ここでぐッと、のしちまわないッと……」

「そうだよ、そうだよ」

元気な言葉だが、虚ろな声だった。その朝野はかつて私に、浅草は人間をぐうたらにしていけないと言ったが、そしてたしかに浅草の空気にはそうしたところがあるけれど、こうした瓶口などを見ると、ぐうたらな空気の裏には激しい生存競争が渦巻いていることを知らされ、私