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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
仁王門へ向け、浅草の花道のような仲見世を堂々と(?)歩くのは珍しいことであった。
「君は何か誤解しているらしいが、――誤解が晴れないようだが」水洟をすすって幾分どもりながら私は言った。
「誤解ならいいんですが」
ドサ貫は踵で敷石を蹴って「もしほんとだったら、――これからでも万一あんたがミーちゃんを誘惑するようなことをしたら、僕は……」
「――君」と私は思わず荒い語気でさえぎった。だがすぐヘナヘナと崩れたふざけた調子で「なんだか脅迫されてるみたいだね」
「ええ、脅迫しているんです」
何か滑稽な言葉だけにかえって凄味をはらんで「僕はまじめに脅迫します」
「………」
「ミーちゃんとかぎらない。浅草の女に手を出すようなことはしないで下さい」
「…………」私の頭に小柳雅子のことが来た。雅子に対して私は手を出すといった気持ではないと自分ではしているが、しかし……。
「いつか死んだ玲ちゃんの話をしましたね。大屋五郎に捨てられてそれで病気がどっとひどくなって、舞台で血を吐いて死んだ……。まるで新派悲劇のような……。だが浅草の女は大概新派悲劇の主人公のようなものを持っているんで。