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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

「誰も来んですよ。そんなどころじゃないと、さっき宣伝部の奴に剣突を食わされちゃった。K劇場じゃ上へ下への大騒ぎで」

冷たく突っ放すように言う。

「どうしよう」

発起人は私と朝野、それに私の友人のTの名を借りて三人の名前になっていた。案内状を送った人たちがみんな集まってきたら、どう謝ったものか、――名前を借りたTにもすまないしと、私は寿命が縮まる想いだった。階段の足音を耳にするたびに、さらでだに痩せている身体が一しお痩せて行くようだった。

定刻をすでに一時間近く過ぎていた。だが来会者はまだ数人だった。これでもうおしまいであってくれと、私は心の中で手を合わせながら、

「わけを言って、はじめようじゃないですか」

と、朝野に言った。早く酒を呑みたかった。素面ではたまらない。

「もう来ないですよ」来てくれるなという願いをこめて言った。

「これじゃ、しかし困るな」

と、朝野は骨張った肩をすくめた。

「三州屋には三十人前後と言ってあるんだが。もう来ないですかな。――倉橋君は案外顔がきかんのですな」

「……?」

「倉橋君の顔でぞくぞく集まってくるかと思っていた」

朝野も私同様、来会者の少ないのにほっとしているはずなのに、こんなことを言う。