轻松读懂日语经典作品
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さむはし
寒橋
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,416 字 · 36 页
……もちろん結婚するまえにきれいに片がついていたらしいが、いっしょに生活してみると、そういう事実があったろうということが、お孝にはよくわかった。
時三は田村へ来てからも、店に坐るよりは仕事をするほうを好んだ。店は他吉という番頭に任せて、自分は一日じゅう仕事場にこもっている。あいそっけはないし口数は少ないし、いつもむっとしたような顔をしているが、そこにちょっと説明のつかない強い魅力があった。……一手にひきうけて世話をしてやりたいとか、思いっきり虐めてやりたいとか、薄情なめにあって泣かされてみたいとか、それそれ気性によって違うだろうが、いずれにせよ彼を見ているとなにかかまってみたくなる、要するにほうっておけない気持になる。
――これがおんな好きのするっていう型なんだわ、いちばん危ない型だわ。
お孝は自分の身にしみてそう思った。
結婚してまる二年も経ち、疑わしいようなことはいちどもなかった。良人が誠実であるということは慥からしい、嫉妬などする余地は少しもない。こう安心していながら、一方ではそんな筈がないという気持がぬけず、ついすると良人をうるさがらせ、自分でもいやになるようなことを云ってしまう。