轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さむはし
寒橋
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,416 字 · 36 页
良人はそう云って笑ったが、自分ではそうは思えない、慥かに一晩じゅう眠れなかったようで、昼になると疲れて眠くてしかたがなかった。
三七日には寺で法事をしたあと、金六町の「菊屋」で客に接待をした。みんなで三十人ばかりだったが、諸事たなうちの者が奔走するので、お孝は坐って挨拶だけしていればよかった。……接待が済んで、いちど店へ寄り、小田原町へ帰る頃にはすっかり昏れて、家にはあかあかと灯がはいっていた。
留守番の者もかえし、二人だけになって、ほっと息をついて顔を見合せたとき、お孝は媚のある眼で良人に頬笑んだ。
「たいへんだったわね、疲れたでしょ、なにもかもあんた一人にして貰って、……本当に悪かったわ、……ごめんなさいね」
「自分の親のことじゃないか、おまえに礼を云われることはないさ」
「お父つぁんうれしかったと思うわ、なんにも心残りはないし、こんなにして貰って、生みの子にだって出来ないことをして貰って、本当に安楽に死ねたと思うの」
「そんなことがあるもんか」
怒ったようにこう云って、時三はふと脇へ眼をそらした。二十日あまりの心労が出たものだろう、頬が少しこけて顔色も悪い。