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どんぐり

寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页

青空文庫

どうかすると、しゃがんでいる腰の下からそっとはいって来て私の両ひざの間に顔を出したりした。そしてちょっと鋏に触れるとそれで満足したようにのそのそ向こうへ行って植え込みの八つ手の下で蝶をねらったり、蝦蟇をからかったりしていた。

蝦蟇ではいちばん始めに失敗したようである。たぶん食いつこうとしてどうかされたものと見えて口から白いよだれのようなものをだらだらたらしながら両方の前足で自分の口をもぎ取りでもするような事をして苦しんでいた。蛙が煙草をなめた時の挙動とよく似た事をやっていた。それ以来はもう口をつけないでただ前足で蛙の頭をそっと押えつけてみたり、横腹をそっと押してみたりしては首をかしげて見ているだけであった。愚直な蝦蟇は触れられるたびにしゃちこ張ってふくれていた。土色の醜いからだが憤懣の団塊であるように思われた。絶対に自分の優越を信じているような子猫は、時々わき見などしながらちょいちょい手を出してからかってみるのである。

困った事にはいつのまにか蜥蜴を捕って食う癖がついた。始めのうちは、捕えたのは必ず畳の上に持って来て、食う前に玩弄するのである。時々大きなやつのしっぽだけを持って来た。