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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
その顔がまたよほど妙なものであった。額がおでこでいったいに押しひしいだように短い顔であった。そして不相応に大きく突っ立った耳がこの顔にいっそう特異な表情を与えているのであった。どうしたのか無気味に大きくふくれた腹の両側にわれわれの小指ぐらいなあと足がつっかい棒のように突っ張っていた。なんとなしにすすきの穂で造ったみみずくを思い出させるのであった。
三毛は明らかな驚きと疑いと不安をあらわしてこの新参の仲間を凝視していた。ちび猫は三毛を自分の親とでも思いちがえたものか、なつかしそうにちょこちょこ近寄って行って、小さな片方の前足をあげて三毛にさわろうとする。三毛は毒虫にでもさわられたかのように、驚いて尻込みする。それを追いすがって行ってはまた片足を上げる。この様子があまりに滑稽なので皆の笑いこけるのにつり込まれて自分も近ごろになく腹の中から笑ってしまった。
すこし慣れて来ると三毛のほうが攻勢をとって襲撃を始めた。いきなり飛びついて首を羽がいじめにして頭でも足でもかみつきあと足で引っかくのである。ほんとうに鷹と小すずめとのような争いであった。ちびは閉口して逃げ出すかと思うとなかなかそうでなかった。