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どんぐり
寺田寅彦随筆集 第一巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页
ポインセチアとはいったいどうつづるのか知りたいと思っていた。偶然丸善から取り寄せた「近世美術」を見たら、その中にロージャー・フライという人がこの花を主題にして描いた水彩があったのでそれがわかった。この絵に付した解説にこんな事が書いてある。「この絵はほんとうに特徴のスタディと呼ばるべきものである。物をそのままに見て、そして偏見なしに描こうとする近代の試みの好適例であるうんぬん。」壁に布切れやしわくちゃの紙片をだらしなく貼りつけたのをバックにして、平凡な牛乳びんに二本のポインセチアが無雑作に突きさしてあるだけである。全体の感じはなるほど悪くないが、今枕もとにある本物と比べて見ると、どうもなんだか葉の排列のしかたがおかしい。植物学者の目で見ればこれは確かに間違っている。しかし前の解説を書いた美術批評家は上のような賛辞を呈している。この批評家のいっている事はずいぶんいいかげんのようにも思われるが、また考え直してみるとほんとうのようにも思われた。
看護婦は毎朝これらの花鉢を室外へ持ち出して水をやってくれた。そのたびごとに廊下でだれかが「マアきれいな花ですこと」