轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どんぐり

寺田寅彦随筆集 第一巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:どんぐり、科学者と芸術家、旅日記から、竜舌蘭、花物語、芝刈り、球根、簔虫と蜘蛛、ねずみと猫、物理学と感覚、先生への通信、病院の夜明けの物音、病室の花、丸善と三越、自画像、春寒、春六題、田園雑感、写生紀行、笑い、案内者、断水の日。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 203,161 字 · 412 页

青空文庫

自分はなんというわけなしに手に持っていた野ばらを道ばたに捨てて行く手の清水へと急いで歩いた。

七 常山の花

まだ小学校に通ったころ、昆虫を集める事が友だち仲間ではやった。

自分も母にねだって蚊帳の破れたので捕虫網を作ってもらって、土用の日盛りにも恐れず、これを肩にかけて毎日のように虫捕りに出かけた。

蝶蛾や甲虫類のいちばんたくさんに棲んでいる城山の中をあちこちと長い日を暮らした。

二の丸三の丸の草原には珍しい蝶やばったがおびただしい。

少し茂みに入ると樹木の幹にさまざまの甲虫が見つかる。

玉虫、こがね虫、米つき虫の種類がかずかずいた。

強い草木の香にむせながら、胸をおどらせながらこんな虫をねらって歩いた。

捕って来た虫は熱湯や樟脳で殺して菓子折りの標本箱へきれいに並べた。

そうしてこの箱の数の増すのが楽しみであった。

虫捕りから帰って来ると、からだは汗を浴びたようになり、顔は火のようであった。

どうしてあんなに虫好きであったろうと母が今でも昔話の一つに数える。

年を経ておもしろい事にも出会うたが、あのころ珍しい虫を見つけて捕えた時のような鋭い喜びはまれである。