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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
結局はただ昔の化け物が名前と姿を変えただけの事である。
自然界の不思議さは原始人類にとっても、二十世紀の科学者にとっても同じくらいに不思議である。
その不思議を昔われらの先祖が化け物へ帰納したのを、今の科学者は分子原子電子へ持って行くだけの事である。
昔の人でもおそらく当時彼らの身辺の石器土器を「見る」と同じ意味で化け物を見たものはあるまい。
それと同じようにいかなる科学者でもまだ天秤や試験管を「見る」ように原子や電子を見た人はないのである。
それで、もし昔の化け物が実在でないとすれば今の電子や原子も実在ではなくて結局一種の化け物であると言われる。
原子電子の存在を仮定する事によって物理界の現象が遺憾なく説明し得られるからこれらが物理的実在であると主張するならば、雷神の存在を仮定する事によって雷電風雨の現象を説明するのとどこがちがうかという疑問が出るであろう。
もっとも、これには明らかな相違の点がある事はここで改まって言うまでもないが、しかしまた共通なところもかなりにある事は争われない。
ともかくもこの二つのものの比較はわれわれの科学なるものの本質に関する省察の一つの方面を示唆する。