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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

伊吹山の句について

昨年三月の「潮音」に出ている芭蕉俳句研究第二十四回の筆記中に

千川亭

おりおりに伊吹を見てや冬ごもり

という句について、この山の地勢や気象状態などが問題になっていて、それについていろいろ立ち入った研究があったようである。私もこの問題については自分の専門の学問のほうからも特別の興味を感じたので、それについての私の考えを、その後小宮君に話した事があった。当時その事について何か書いてみたらどうかという話もあったが、充分具体的な材料が手もとになかったから、ついそのままになっていたのである。近ごろ思い出して、急に材料を捜しにかかったが、容易に見つからず、とうとう彦根測候所に頼んで、同所の筒井百平氏から、必要な気象観測のデータを送っていただいて、それでやっと少しはまとまった事を考えるだけの資料ができた。ここで改めて筒井氏の御好意に対してお礼を申し上げたい。

私がこの句に対して特別な興味を感じたのにはもう一つの理由がある。学生時代の冬休みに、東海道を往復するのに、ほとんどいつでも伊吹山付近で雪を見ない事はなかった。神戸東京間でこのへんに限って雪が深いのが私には不思議であった。