轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
解かれた象
上野の動物園の象が花屋敷へ引っ越して行って、そこで既往何十年とかの間縛られていた足の鎖を解いてもらって、久しぶりでのそのそと檻の内を散歩している、という事である。話を聞くだけでもなんだかいい気持ちである。肩の凝りが解けたような気がする。
事実はよくわからないが、伝うるところによるとこの象は若い時分に一度かんしゃくを起こして乱暴をはたらいた事があるらしい。それがどういう動機でまたどういう種類の行為であったかを確かめる事ができないのであるが、ともかくも、普通の温順なるべき象としてあるまじき、常規を逸した不良な過激な行為であった事だけは疑いもない事であるらしい。そういう行為をあえてするという事は、すなわち彼が発狂している事の確かな証拠であるとこういう至極もっともらしい理由から、彼は狂気しているという事にきわめをつけられた。その結果として、それ以来はその前後の足を、たしか一本ずつ重い冷たい鉄の鎖で縛られたままで、不自由な何十年かを送って来たのである。
鎖は足に食い込んであの浅草紙で貼っただんぶくろのような足の皮は、そのために気味悪く引きつって醜いしわができていた。