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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
この数行を読んで私は十九世紀末に行なわれた原子の実在に関するはげしい論争を思い浮かべざるを得なかった。また物理学における「アンスロポモーフィズムからの解放」を唱えたプランク一派の主張や、また一方最近に至って、直接可測的のもの以外の実在性を否定しようとする新素量力学の先駆者らの叫びを思いくらべて、いかにこの問題が古いものであるかを知り得たのである。
目に見えぬ実在の他の例としては彼はなお、香気や湿気などをあげている。また物体の磨滅の現象からも、目に見えぬ微小部分が存するゆえんが引証されている。
元子によって自然を説明しようとするのに、第一に必要となって来るものは空間である。彼はわれわれの空間を「空虚」(void)と名づけた。「空間がなければ物は動けない」のである。彼の空間は真の空虚であってエーテルのごときものでない。この点もむしろ近代的であると言われよう。
物質原子の空間における配置と運動によってすべての物理的化学的現象を説明せんとするのが実に近代の少なくも十九世紀末までの物理学の理想であった。そうして二十世紀の初めに至るまでこの原子と空間に関するわれわれの考えはルクレチウスの考えから、本質的にはおそらく一歩も進んでいないものであった。