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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

たとえわが精神の元子は元子として世界のどこかに存在していても、肉を離れて分解した元子はもはや「我れ」ではない。もっとも、現に我れを構成していたすべての元子が、測るべからざる未来において、偶然に再び元のとおりに結合して今の我れと同じものも作るような事はありうるかもしれないが、その再生した我れが、前生の我れを記憶していようとは思われない。

死後に自分の死を悲しむべき第二の我れは存しないからわが死は我れにとって悲しみでない。死とともに欲望も死ぬるから、だれも、満たされなかった望みに未練を感ずるものはない。そしてたとえせいぜい幾年生き延びたところで永遠の死に対してはその余命は無に等しい。

死後に行くと言われる地獄は、実は目前の欲の世界である。これをのがるる唯一の道は万物の物理の研究である。

私はこのエゴイストの哲学についてはなんらの批評の言葉も持ち合わせない。しかし私は、現代においてもしも腹わたの奥底までも科学的にできあがった科学者がいたとしたら、少なくも彼の死に対する観念だけは、よほどこれと似たものでありはしないかを疑うものである。

以上彼の所説中で今の物理学者にとって最も興味あるものと思わるるのは、いったん成立して後に分解し離散した多数元子のある特定の集団が、たとえほとんど無限の時間の後であるとしても、再び