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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
何かしらうまい神秘的な金もうけはないかと思って捜している資本家の前に、その要求に応じて出現するものである。悪魔でも呼び出さない人の前にはそう無作法には現われない。
欺くほうもあまりよくはないが、欺かれるほうもこの現象の第一原因としての責任はある。もし現代の科学を一通り心得た大岡越前守がこの事件を裁くとしたら、だまされたほうも譴責ぐらいは受けそうな気がする。
しかしそんな事は自分の問題ではない。ただちょっと考えてみたくなる事が一つある。
警視庁で実験をやり始め、やりつつある間のその人の頭の中にどんな考えが動いていたかという事である。たとえそれまではパルプと真綿をすりかえる手品をやっていたに相違なくとも、その時には、やっているうちに、もしかするとほんとうにパルプが真綿に変わるかもしれないという不可思議な心持ちを、みずからつとめて鼓舞しつつ、ビーカーの中をかき回していたのではないかという疑いである。
やっているうちに立ち会い役人の目を盗んですりかえようと思ったのだというのは最も常識的な解釈で、それを否定する事はむつかしい。しかしただそれだけであったかどうかが問題である。