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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

そして著者とともに貴重な残り少ない生の一日一日を迎えるのである。牛乳一合がココア入りであるか紅茶入りであるかが重大な問題である。それは政友会が内閣をとるか憲政会が内閣をとるかよりははるかに重大な問題である。

昼飯に食った「サシミノ残リ」を晩飯に食ったという記事がしばしば繰り返されている。この残りの刺身の幾片かのイメージがこの詩人の午後の半日の精神生活の上に投げた影はわれわれがその文字の表面から軽々に読過するほどに希薄なものではなく、卑近なものでもなかったであろう。

この病詩人を慰めるためにいろいろのものを贈って来ていた人々の心持ちの中にもさまざまな複雑な心理が読み取られる。頭の鋭い子規はそれに無感覚ではなかったろう。しかし子規は習慣の力でいろいろの人からいろいろのものをもらうのをあたかも当然の権利ででもあるかのようにきわめて事務的に記載している。この事務的散文的記事の紙背には涙がある。

頭が変になって「サアタマランサアタマラン」「ドーシヨウドーシヨウ」と連呼し始めるところがある。あれを読むと自分は妙に滑稽を感じる。絶体絶命の苦悶でついに自殺を思うまでに立ち至る記事が何ゆえにおかしいのか不思議である。