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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

私はなんとなくチャイコフスキーのパセティクシンフォニーを思い出す。

実際この線香花火の一本の燃え方には、「序破急」があり「起承転結」があり、詩があり音楽がある。

ところが近代になってはやり出した電気花火とかなんとか花火とか称するものはどうであろう。なるほどアルミニウムだかマグネシウムだかの閃光は光度において大きく、ストロンチウムだかリチウムだかの炎の色は美しいかもしれないが、始めからおしまいまでただぼうぼうと無作法に燃えるばかりで、タクトもなければリズムもない。それでまたあの燃え終わりのきたなさ、曲のなさはどうであろう。線香花火がベートーヴェンのソナタであれば、これはじゃかじゃかのジャズ音楽である。これも日本固有文化の精粋がアメリカの香のする近代文化に押しのけられて行く世相の一つであるとも言いたくなるくらいのものである。

線香花火の灼熱した球の中から火花が飛び出し、それがまた二段三段に破裂する、あの現象がいかなる作用によるものであるかという事は興味ある物理学上ならびに化学上の問題であって、もし詳しくこれを研究すればその結果は自然にこれらの科学の最も重要な基礎問題に触れて、その解釈はなんらかの有益な貢献となりうる見込みがかなりに多くあるだろうと考えられる。