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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页
そのうちにもう生命の影も認められないようになった子猫はすぐに裏庭の桃の木の下に埋めた。埋めてしまった後に、もしやまだ生きていたのではなかったかという不安な心持ちがして来て非常にいやな気がした。しかしもう一度それを掘りかえして見るだけの勇気はどうしてもなかった。黒い油にまみれたあのおぞましい団塊に再び生命が復って来ようとも思われなかった。
そのうちに一同が帰宅して留守中に起こった非常な事件に関する私からの報告を聞いているうちに、三毛はまた第二第三の分娩を始めた。私はもうすべての始末を妻に託して二階にあがった。机の前にすわってやっと落ち着いてみると、たださえ病に弱っている自分の神経が異常な興奮のためにひどく疲れているのに気がついた。
あとから生まれた三匹の子猫はみんなまもなく死んでしまった。物置きに入れられてからの三毛のはげしい肉体と精神の劇動がこの死産の原因になったのではないかと疑ってみた。この疑いはいつまでも私の心の奥のほうに小さな傷あとのようになって残っている。桃の木の下に三匹の同胞とともに眠っているあの子猫に関する一種の不安もおそらくいつまでも私の良心に軽い刺激となって残るだろう。