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えいがじだい

寺田寅彦随筆集 第二巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第二巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:映画時代、子猫、解かれた象、相対性原理側面観、怪異考、比較言語学における統計的研究法の可能性について、化け物の進化、ルクレチウスと科学、蓄音機、亮の追憶、一つの思考実験、電車の混雑について、浮世絵の曲線、二十四年前、伊吹山の句について、池、路傍の草、備忘録、日本楽器の名称、Liber Studiorum、時事雑感。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 207,099 字 · 419 页

青空文庫

今のままの物理学ではおそらく永久に無力であろうが、もし物理学上の統計的異同の研究が今後次第に進歩して行けばこの方面から意外の鍵が授けられて物質と生命との間に橋を架ける日が到着するかもしれないという空想が起こる。

街上を往来している人間の数についてある統計を取ってみると、その結果は、個々の人間もあたかも無生のガス分子ででもあると同様な統計的分布を示す事が証明される。もし人間以外のあるものが他の世界からこれら街上の人間についてただこのような統計的分布に関係した事がらのみを観察していたならば、そのものの目には、人間は無生の微分子としか見えないであろう。そうして、その同じ微分子が、一方で有機的な国家社会的の機関を構成しているのを見てその有機体の生命の起原を疑い怪しむに相違ない。

このアナロジーから喚起される一つの空想は、もしや生命の究極の種が一つ一つの物質分子の中にすでに備わっているのではないかという事である。物理学者はおそらくただその統計的の現われのみを観察しているのではないだろうか、そうして無生の微粒と思っているものが生物という国家を作り社会を組織しているのに会って驚き怪しんでいるのではないだろうか。