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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
「馬鹿……余計な真似をするんじゃない」
「……でも患者さんが手術の事を心配してアンマリくどくど聞くもんですから……そうしたら三人目の一番小ちゃい子供の肥大に指が触ったと思ったら突然、喰付かれたんですの……コンナニ……」
と付根の処を繃帯した左手の中指を出して見せた。
「……見ろ。これからソンナ出裟婆った真似をするんじゃないよ」
と戒めてから私は平常の通り診察にかかったが、彼女は別にお見舞に行こうとする私を強いて止めようとする気色も見せなかった。
しかし午後一時から三時までの私の休息時間が来て、程近い紅葉坂の自宅に帰ろうとすると、その玄関で彼女がまたも私の前に駈け寄りながらシオシオと頭を下げた。
「先生。すみませんけど、きょうの午後から、ちょっとお暇を頂きたいんですの」
「うん。きょうは手術がないから出てもいいが……何処へ行くんだい」
「あの……白鷹先生の奥様の処へ、お見舞に行きたいんですの。どうしても一度お伺いしなければ……と思いますから……」
「うん。そりゃあ丁度いい。僕も今夜あたり行こうと思っているんだから、そう言っといてくれ給え」
「ありがとうございます。