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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
途中の闊葉樹林は主として椈であるが、直径二、三尺以上にも及ぶものが少なくない。黒平方面から金峰山に登る間や、雁坂旧道の椈の林と共に奥秩父の最も美しい闊葉樹林と称して差支ないであろう。此辺で落ち付いて休み度いという平素の願の通り、今日は此処で昼飯を炊いて気持の好い河原の石の上に横たわりながら、飯の熟するのを待っていた。日蔭は少し寒いし日向は少し熱い。晴れた青空に拡がる丈枝を伸した水楢などの大木の若葉が、日光に透き徹って豊麗な生々した黄金色に冴えている。飛び交う羽虫の翼が其間からひらひら閃めく。実に長閑な晩春の行楽であった。自分等はすっかり満足した。
かくして栃本に着いたのは午後五時を過ぐること十五分であった。(大正六年六月)
(大正九、一一『山岳』)