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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页
雪を溶してお茶を煮、昼飯を済まして、ウイスキーを飲みながら雑談に耽る。初日以来癖になって、昼食後の休みはいつも長い。日向は暑いし風の吹く処は寒いので、風の当らない木蔭を覓めて、鷹に追われた雉子のように偃松の繁みに潜り込む。こんな時に平気で何処へでも腰を据えて、人の騒ぐのを笑って見ているのは、南日君と長次郎だ。悪く言えば至極の不精者で、能く言えば人間界では余り幅の利かない仙人という者に近い人なのであろう。時には小面憎いほど羨ましいと思うこともあるが、時には如何かしてやりたい様な気のすることもある。今日などは無論引担いで偃松の中へ放下し込んでやったなら、どんなに好い気持であろうと思った。
此山から尾根は南東に延びて、六、七町の先に雑木の茂った雪の多い一峰を起している。此処よりは六、七十米も高いらしい。何という山か名を知らないので、仮りに白萩山と命名することにした。其処から東に低下した尾根は急に肩を聳かして、右斜に三つ奇醜な円頂を擡げている。此処から眺めた所では南寄りの者が最も高く、中央の者が最も低い。この駢立した三峰が早くから地図の上で其名を知られていた所謂赤兀白兀である。