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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)

山の憶い出 上

木暮 理太郎

木暮理太郎『山の憶い出 上』。同一底本的分册已合并为一书。收入:笛吹川の上流(東沢と西沢)、奥秩父の山旅日記、釜沢行、秩父の奥山、利根川水源地の山々、秋の鬼怒沼 、美ヶ原、木曽駒と甲斐駒、黒部川奥の山旅、黒部川を遡る 、針木峠の林道 、春の大方山、三国山と苗場山、八ヶ峰の断裂 。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 页

青空文庫

中村君も強制的に同行させる筈であったが急に南洋へ行くことになってしまった。秩父の青葉よりも南洋の青葉の方が一層盛であるに相違なかろう。どうせ行くなら南洋の方がいいなと思ったが仕方がない。秩父で我慢することにして、差し迫った用事を徹夜して片付け、五月三十一日に翌日の晴れを見越して、雨の中を午後十一時飯田町発の汽車に乗る。

笛吹川の上流西沢を遡ることが此旅行の主眼であった。このことは今迄不可能であると言われていたが、可なりの困難を予期したならば、石塔尾根を登ってから沢へ下り込むようなことをせずとも、或は通れぬということもあるまいと想像して、次のような計画を立てた。西沢を遡って国師奥仙丈二山の間の鞍部三繋平に登り、荒川に沿うて御岳方面へ下ろうというのが第一案で、三繋平へ登ったならば、国師岳を踰えて金山沢を下り、更に釜沢に入り、甲武信岳から林道を栃本に出ようというのが第二案であった。然しどれも皆知らぬ沢である上に、どうも楽に通れそうにも思えぬ。是に於てか流石の田部君も、後者は四日の旅には余り大袈裟であるというので否決し、先ず荒川を下ることに極めて置いて、若し西沢の遡行がむずかしい場合には釜沢入りを決行しようということになった。