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しんりしけん
心理試験
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,728 字 · 46 页
六
判事が少なからず驚いて尋ねた。
明智は別に得意らしい色もなく、詳しく彼の考を述べた。そして、それが判事をすっかり感心させて了った。
明智の希望が容れられて、蕗屋の下宿へ使が走った。
「御友人の斎藤氏は愈々有罪と決した。それについて御話したいこともあるから、私の私宅まで御足労を煩し度い」
これが呼出しの口上だった。蕗屋は丁度学校から帰った所で、それを聞くと早速やって来た。流石の彼もこの吉報には少なからず興奮していた。嬉しさの余り、そこに恐ろしい罠のあることを、まるで気附かなかった。
六
笠森判事は、一通り斎藤を有罪と決定した理由を説明したあとで、こう附加えた。
「君を疑ったりして、全く相済まんと思っているのです。今日は、実はそのお詫び旁々、事情をよくお話しようと思って、来て頂いた訳ですよ」
そして、蕗屋の為には紅茶を命じたりして極く打ちくつろいだ様子で雑談を始めた。明智も話に加わった。判事は、彼を知合の弁護士で、死んだ老婆の遺産相続者から、貸金の取立て等を依頼されている男だといって紹介した。無論半分は嘘だけれども親族会議の結果、老婆の甥が田舎から出て来て、遺産を相続することになったのは事実だった。