轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あくりょう
悪霊
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1933(昭和8)年11月~1934(昭和9)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 页
先生のお声はひどく震えていた。
「わたしの前に腰かけている、美しい人です」
余りに意外な言葉であったものだから、咄嗟にはその意味を掴むことが出来なかった。だが、考えて見ると「織江さん」が、私の前というのは現実のこの部屋のことに違いない。霊媒の龍ちゃんの正面に腰かけている人という意味に違いない。
「止して下さい。もうこんな薄気味の悪い実験なんぞ。どなたか、電気をつけて下さいまし」
突然、耐りかねた黒川夫人が、上ずった声で叫びなすった。無理ではない。今霊魂が喋ったのは、黙って聞いているのには、余りに恐ろし過ぎる事柄であったのだから。この席で「美しい人」と云えばさしずめ鞠子さんだ。でないとしたら、黒川夫人の外には、そんな風に呼ばれる人物はない。いずれにしても、夫人の身としては、黙って聞いてはいられなかったに違いない。
「イヤ、お待ちなさい。奥さん。これは、非常に、重大な予言らしい。我慢して、も少し聞いて、見ましょう」
熊浦氏の特徴のある吃り声が制した。
「むごたらしい殺し方も、そっくりです。二人とも、同じ人の手にかかって死ぬのです」
無表情な声が、又聞え始めた。