轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくま

悪魔

小川 未明

「新文藝」1910(明治43)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,591 字 · 16 页

青空文庫

五

窓を見ている女は、この女の問いに答えなかったが、監督がこっちを見ていると聞いたので、急に下を向いて激しく手を振り出した。死物狂いであることが判った。

五

三十分の後、女は暗い下の室の隅に竦んでいた。破れた煤けた障子が西向に、閉っていて、床は汚れた三畳敷の室であった。敷物も別になくてただ女は片隅に竦んだまま身動きをしなかった。これは先刻、窓を見ていた女である。いつも、青い雲切れのした空を見ると、身の苦痛を忘れてしまう。そして故郷の波の寄せる小松原の景色を想い浮べる。小松原で、小児の時分遊んだ日の光景などが活々と現われて来て、つらい、今の身を慰めてくれる。それを楽しみに、今日も空を見ていたのであった。つい三十分前までは……。

雪の深い、虚な渓底へ、吊されて下りたように悪寒が身を襲って来た。頭の中で鉛を煮るように、熱く、重く、苦しくなった。手足の脉々は、飛び上るようにずきりずきり打ち初めた。耳は早鐘のように声高く乱打して、足は刎ね上るように軽く、気味悪く宙へ浮き立つようだ。

「ああ、苦しい。」と、女は悶え始めた。ガランガランと石炭を機関の下に投げ込む音がする。