轻松读懂日语经典作品
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じょうき
情鬼
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,393 字 · 35 页
『冗談ですよ。怒りっぽいね、あなたは。じゃ約束しましょう。もう少し待って下さい。ねえ、いいでしょう?』
『もう少しって、いつのことですの? あなたのもう少しなんて、何年先の事だか、何十年先の事だか、永久来ないもう少しだか分りやしない。その手で何年釣られたと思召すの? はっきりしたところを仰しゃって頂きますわ』
『そんな我意を云うなら、意地にもいえません』
『それごらんなさい。嘘がばれたもんだから返事が出来ないんですわ』
『嘘はいいません』
『否え嘘です。その嘘で××は欺ませても私は欺ませませんよ』
『勝手になさい』
『ええ、勝手にしますとも』
そんな口喧嘩を最近はのべつ繰返すようになり、そのためお互の間も段々気拙ずくなってまいりました。
そこへある事件の打ち合せのため、急に本省から電報で呼び寄せられることになりました。小田切さんの帰朝を耳にすると殆ど同時に、またある確実な処からこんな情報を得たのでございます。それはある有名な家からあの人へ結婚の申込みがあって、話は順調に進んでいる。再赴任せられる時は新夫人を伴って来られるだろうというのです。
私はもう我慢してはいられませんでした。