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じょうき
情鬼
大倉 燁子
「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,393 字 · 35 页
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そこで吉岡は腕によりをかけて久子さんを弄落にかかる。処が肝心の兄さんが賛成しない。吉岡の才能は愛するが、妹の夫として撰ぶ人物ではないと思っているらしいと吉岡が感づく。そこで彼には小田切氏が邪魔になってくる。
事によるとこれは自殺ではないかも知れない。支那人などがよく用いる巧妙な手段で、殺害されたのではあるまいか。支那人には残忍性があるから、その血をひいているとしたら、自分の目的を達するためには、どんな悪辣な方法でもやるだろう。だからこそ大使が死ぬと早速故国へ引揚げてしまったのではないか。ほとぼりをさましてから素知らぬ顔で小田切家にまた現れてくるに相違ない。もしかするとその秘密の一部を久子さんも知っているのではあるまいか。そこまで考えると何かしら彼女の身辺にも暗い翳があるように思われる。恋のためには親を殺す者さえある。久子さんが吉岡の話をする時の態度から察しても、大分両人の間は進んでいるようだ。小田切大使がどうしても二人の恋を許さなかったとしたら?
私はすっかり吉岡を犯人にでっち上げて考えている処へ、忙しそうに階段を昇って来る夫人の足音がした。
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「さあ、これから吉岡五郎さんを訪問するんですよ。