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おしみなくあいはうばう

惜みなく愛は奪う

有島 武郎

「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页

青空文庫

愛を優しい力と見くびったところから生活の誤謬は始まる。

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女は持つ愛はあらわだけれども小さい。男の持つ愛は大きいけれども遮られている。そして大きい愛は屡あらわな愛に打負かされる。

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ダヴィンチは「知ることが愛することだ」といった。愛することが知ることだ。

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人の生活の必至最極の要求は自己の完成である。社会を完成することが自己の完成であり、自己の完成がやがて社会の完成となるという如きは、現象の輪廻相を説明したにとどまって、要求そのものをいい現わした言葉ではない。

自己完成の要求が誤って自己の一局部のそれに向けられた瞬間に、自己完成の道は跡方もなく崩れ終る。

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一人の人の個性はその人の持つ過去全体の総和に過ぎないとある人はいうだろう。否、凡ての個性はそれが持つ過去全体の総和に「今」が加わったものだ。そして「今」は過去と未来とを支配し得る。

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ラッセルは本能を区別して創造本能と所有本能の二つにしたと私は聞かされている。私はそうは思わない。本能の本質は所有的動向である。そしてその作用の結果が創造である。