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おしみなくあいはうばう

惜みなく愛は奪う

有島 武郎

「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页

青空文庫

二三

彼はその余の凡てを彼自身で処理して行くだろう。私は今仮りに少年少女を私の意見の対象に用いた。然し私はこれを中等教育にも高等教育にも延長して考えることが出来ると思う。学問の内容よりも学問そのものを重んじさせるということ、知識よりも暗示を与えるということ、人間を私の所謂専門家に仕立て上げないことなど。

二三

私は更に愛を出発点として男女の関係と家族生活とを考えて見たい。

今男女の関係は或る狂いを持っている。男女は往々にして争闘の状態におかれている。かかる僻事はあるべからざることだ。

どれ程長い時間の間に馴致されたことであるか分らない。然しながら人間の生活途上に於て女性は男性の奴隷となった。それは確かに筋肉労働の世界に奴隷が生じた時よりも古いことに相違ない。

性の殊別は生殖の結果を健全にし確固たらしめんがために自然が案出した妙算であるのは疑うべき余地のないことだ。その変体が色々な形を取って起り、或る時はその本務的な目的から全く切り放されたプラトニック・ラヴともなり、又かかる関係の中に、人類が思いもかけぬよき収得をする場合もないではない。私はかかる現象の出現をも十分に許すことが出来る。