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おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页
第一この制度の強制的存在のために、家族生活の神聖は、似而非なる家族の交雑によって著しく汚される。愛なき男女の結合を強制することは、そのまま生活の堕落である。愛によらざる産子は、産者にとって罪悪であり、子女にとって救われざる不幸である。愛によって生れ出た子女が、侮辱を蒙らねばならぬのは、この上なき曲事である。私達はこれを救わなければならない。それが第一の喫緊事だ。それらのことについて私達はいかなるものの犠牲となっていることも出来ない。若しこの欲求の遂行によって外界に不便を来すなら、その外界がこの欲求に適応するように改造されなければならぬ筈だ。
愛のある所には常に家族を成立せしめよ。愛のない所には必ず家族を分散せしめよ。この自由が許されることによってのみ、男女の生活はその忌むべき虚偽から解放され得る。自由恋愛から自由結婚へ。
更に又、私は恋愛そのものについて一言を附け加える。恋愛の前に個性の自己に対する深き要求があることを思え。正しくいうと個性の全的要求によってのみ、人は愛人を見出すことに誤謬なきことが出来る。そして個性の全的要求は容易に愛を異性に対して動かさせないだろう。