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おしみなくあいはうばう
惜みなく愛は奪う
有島 武郎
「有島武郎著作集 第一輯」叢文閣、1920(大正9)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 79,397 字 · 159 页
一三
一四
現在人類の生活が智的生活をその基調としているという点に於て、その躊躇は無理のないことだともいえる。単に功利的な立場からのみ考えれば、その躊躇は正当なことだとさえいえる。然し凡ての生存は、それが本能の及ぶだけ純粋なる表現である場合に最も真であるという大事な要件が許されるならば、本能的生活は私にとって智的生活よりもより価値ある生活である。若し価値をもってそれを定めるのが不当ならば、より尊い生活である。しかも私はこの生活の内容を的確に発想することが出来ない(それはこの生活が理智的表現を超越しているが故でもある)。その場合私は、比喩と讃美とによってわずかにこの尊い生活を偲ぶより外に道がないだろう。
一三
知的生活の構造の図
一四
本能という言葉を用いるに当って私は多少の誤解を恐れないではない。この言葉は殊に科学によってその正しい意味から堕落させられている。というよりは、科学が素朴的に用いたこの言葉を俗衆が徹底的に歪め穢してしまった。然し今はそれが固有の意味にまで引き上げられなければならない。ベルグソンはこの言葉をその正しき意味に於て用い始めた。ラッセル(私は氏の文章を一度も読んだことがないけれども)もまたベルグソンを継承して、この言葉の正当な使用を心懸けているように見える。