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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
「千々子を引合いにだすのは、やめてください。それにしても、あなたってひとは、すこしどうかしているわ。そんな事情があるなら、なぜ、もっとはやくおっしゃらないんです。そうならそうで、いくらでも打つ手があった。シュラーが訪ねてくるのを、安閑と待っているようなことはしなかったでしょう」
「そちらさまだけのことじゃない。シュラーを太田の親娘に取られたんでは、これだけの仕掛けがみなフイになってしまう。あたしとしては、はじめっからこちらの千々子さまを推戴してかかった仕事だから、なんとしてでも、もういちど、こちらへ捻じ戻してみるつもりなんで……あの親娘はなかなか一筋繩ではいかないが、シュラーのいどころを嗅ぎだすくらいは、雑作のないことです……そういうわけですから、捻じ戻しのほうは、ひとつ、あたしに任せておいていただきましょう……今日は、まァ、こんなところで……」
ヘンリ清水が帰りかけると、石田氏は庭へおりて、
「君、君、ちょっと……」
といいながら、芝生のところまで追いかけてきた。
「清水君、君には話さなかったが、この春から、下のプールで、夜光錦鯉という変ったものをつくっていたんだ。