轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
それはともかく、あまりにも変わりはてた一帯のようすに、石田の一家は思わず眼を見張った。
古代の呪いがかかっているような、くすみにくすんだ大玄関の式台と、欅の大引扉は、眼もさめるような青林檎色のペンキを塗られ、ディッケンスの古いアメリカの絵にある、清教徒の郷土の館邸のようなロマンチックな見かけになっていた。
御所造りの一廓につづく、もの佗びた明治風の洋館の屋根は、釉のかかったピカピカ光る緑色の陶瓦に葺きなおされ、無骨な窓枠がはまっていた窓は、のこらず線の細いスチールサッシュにかわり、軒蛇腹と胴蛇腹は、褪紅色と薄桃色の染め分けで、三色クリームのかかったデコレーション・ケーキそっくりという、笑いだしたくなるような花やいだようすを見せている。
うるさい勾配のついた江戸千家風の茶庭は、いちめんに平らな芝生になり、大きな緋鯉のいる、ひろびろとした丸池があったあたりに、飛込み台と供水ポンプのついたタイル張りのプールができ、いぜん、筋落ちの小滝が、すずしい音をたてていた築山のつづきの崖は、コンクリートで塗りつぶされ、テニス・コートの背壁に使われているという、信じられないような変貌をとげていた。