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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页
石田氏は、喧嘩をするつもりなのか、ひどく刺激的な微笑をしてみせた。
「特にひどいというところが、あまりにも、ありすぎるんでねえ」
調達局は、逆らわない。まるく熟した、下町風の笑顔でうけた。
「どうか、どんどん、おっしゃって……片っ端から、サラサラッと記録していきますから」
「待ってください。その前に、改変にたいする、補償の原則や、事例をうかがっておきたい」
石田氏は、そこのソファに掛けろと、官僚の横柄な身振りをしながら、
「家のものも、いろいろとお聞きしたいことがあるらしいから……」
「われわれとしては、お家族連れでお出でくださるほうが、ありがたいので……ご婦人の方は、悪くされたところよりも、よくなっているところを、よけいに発見してくださるんです……いま洋館のほうへいらした、黒い服を召したお嬢さまも、なかなか面白いところを見ていられました」
「黒い服? ……それは、ちがう。私の家族は、ここにいるだけだ……つかぬことを伺うようだが、ここには、どういう連中が住んでいたんだね? 私のほうには、シュラー・ハークネスというひとがいたことがわかっているが、そのほかに……」