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わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

「オール読物」1953(昭和28)年1月〜6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 90,195 字 · 175 页

青空文庫

「私は家屋家具の管理を担当しているので、そのほうは、ぜんぜん……接収家屋の貸借は、調達局の契約部長が、管理部長から借りる形式になっております。つまり管理部長と契約部長の間の契約なので、いちいち当ってみないかぎり、どんな人間が入っているのかわからないことが多いので……」

「おたずねしたのは、そういうことじゃない……最初、シュラーというひとが、家族連れで、むこうの洋館に住むようになった。そのため、私はシュラー氏にたいする賃貸料をもらっていた……ところで、日本家屋のほうの設営や間仕切りのぐあいをみると、ほかに、相当の数の人間が住んでいたと思われるのに、それに関して、今日まで、なんの通知も受けていない……これは、どういうことだったのでしょうな。担当ちがいの君にたずねても、仕様のないようなものだが」

「全部の顔を見たわけでありませんが、たしかに、大勢、住んでいました……アメリカ人ばかりではないので、比島人、瑞西人、和蘭人、メキシコ人、いろいろだったようです。それがさかんに社交性を発揮するので、この邸はえらい繁昌でした。ショルダー・バッグを肩から吊るした女どもが、毎日、二三十人ずつもやってきて、プールで大騒ぎをするので、近所では、評判だったようです」