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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

この扇は誰かに貰ったのかと聴くと、彼は笑ってとうとう見付かった、実は貰ったような貰わないような曖昧の状態で持って来た扇だと言い、茅野さんのお宅の近くの別荘の人から貰った物だといって、いい扇でしょう、と彼はそれを開いて風を入れて見せた。孰れは此方に連れて来たいのだが、連れて来るのに気遅れがして困るといった。悪く見られるのもいやだし、そんなに美人でもないのだからと、彼ははじめて繁々と東京と千ガ滝の間を往復するわけを話し出した。自分としては余りに内気で温和しい人であることが気に入り、二つの美点につながっているのだと、その話振りには私にその女の人を一遍見せたい気がたくさんにあるだけに、見せるのを惜しむような気もあるらしい。男でも、若い内に女の人ができると、自分の一等親しい人に見てもらいたいし、見せて褒めてほしいものであった。若し見せてから褒めてもらえない場合があると、悲観して見せなければ宜かったとおもうものだ。信夫もこの二つの問題をいつも頭に置いて、東京と軽井沢の間を往還していた。

若し此方に連れて来てよいようなら、一度誘って来てもよい、兄秀夫には大体の事を話して置いたから、兄から父に話して貰い、父から母に話してもらう手順だが、母はだいぶ前から一人で心決めにしている娘さんがいるので、母の城を落すことも容易では