轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうわ
挿話
徳田 秋声
「中央公論」1925(大正14)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,544 字 · 53 页
五
それに辰之助も長いあいだ、ほとんど地廻りのようにこの巷に足を入れていて、お絹たちとはことに深い馴染なので、芝居見物のことなどで、彼の気を悪くさせるのも、あまり好ましいことではなかった。
道太にすれば、芝居はたいした問題ではなかった。誰れが行こうが脱けようが、それもどうでもよかった。しかし一人のお絹を連中から喰みだしてはならなかった。お絹なしには芝居見物はむしろ無意味で、怠屈で、金の濫費であった。お絹に働きかけてゆく気は、今の彼にはないといった方が確かであったけれど、お絹ほど好きな女は、どこにも見当たらなかった。もし事情が許せば、静かなこの町で隠逸な余生を楽しむ場合、陽気でも陰気でもなく、意気でも野暮でもなく、なおまた、若くもなく老けてもいない、そしてばかでも高慢でもない代りに、そう悧巧でも愚図でもないような彼女と同棲しうるときの、寂しい幸福を想像しないではいられなかった。
五
ある日の午後も、隣りの狂気鳥が、しきりにでたらめのを囀っていた。
三声五声抱えの芸名なんかを呼んでいたかと思うと、だんだん訳がわからなくなって、調子に乗ってぎゃあぎゃあ空虚な声で饒舌りつづけていた。