轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゃよう
斜陽
「新潮 第四十四巻第七号~第十号」1947(昭和22)年7月1日~1947(昭和22)年10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,822 字 · 176 页
私はこれまで永いことお母さまと二人きりで暮したのだから、もう思い残すことは無い。これから直治がお母さまとお二人で水いらずで暮して、そうして直治がたんとたんと親孝行をするといい。私はもう、いやになった。これまでの生活が、いやになった。出て行きます。きょうこれから、すぐに出て行きます。私には、行くところがあるの」
私は立った。
「かず子!」
お母さまはきびしく言い、そうしてかつて私に見せた事の無かったほど、威厳に満ちたお顔つきで、すっとお立ちになり、私と向い合って、そうして私よりも少しお背が高いくらいに見えた。
私は、ごめんなさい、とすぐに言いたいと思ったが、それが口にどうしても出ないで、かえって別の言葉が出てしまった。
「だましたのよ。お母さまは、私をおだましになったのよ。直治が来るまで、私を利用していらっしゃったのよ。私は、お母さまの女中さん。用がすんだから、こんどは宮様のところに行けって」
わっと声が出て、私は立ったまま、思いきり泣いた。
「お前は、馬鹿だねえ」
と低くおっしゃったお母さまのお声は、怒りに震えていた。
私は顔を挙げ、
「そうよ、馬鹿よ。