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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
11 第十一分冊
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 186,659 字 · 372 页
もとより秀長の力足らざるところから、御憂慮を煩わしたもの。自責にたえませんが、しかし、天下に面目が立ちません。発奮して、必ず、御期待にそいます。どうか、御動座の儀は、お取止めの程をねがい奉ります。
こういう書面の内容を見て、秀吉は、秀長の意を諒としたか、或いは、初めから秀長をして発奮させるためにやったことか、とにかく、秀吉自身の出馬は、沙汰止みになった。
当然、秀長は、その任務に、数倍の努力と奮闘をかけて、一ノ宮へ迫った。
攻囲に当った諸将を見ると、第一に秀次。以下、蜂須賀父子、仙石、堀、長谷川、日根野、浅野、戸田、高山、一柳などの、およそ大坂方の将星を集めている。
七月十五日から、総攻撃は開始され、猛烈な砲撃のもとに、忽ち、外城を破り、敵の水の手を破潰することに成功した。
水の手を断たれた城は、数日のまに、死相をあらわした。
「やまは見えた」
「落城は、時の問題」
寄手は、第二段の攻勢を整えた。そして、一気に最後の踏みつぶしにかかろうとした前夜――城中の守将、江村孫左衛門と谷忠兵衛の二人の名前で、
「五日間の休戦を乞う」
と、軍使を送って来た。
秀長は、休戦をゆるした。